2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

或るエッセイ

私はヴァイオリンを習っている。休学中にもかかわらず、大きくかまえたものである。そのあいだ、三島由紀夫の『豊饒の海』四部作をマラソンのようによんでいる。『豊饒の海』のなかの『春の雪』は文章が流麗で「ますらをぶり」を感じさせる。主人公は変転流…

『小説家をめぐる冒険』『私小説のありかた』

僕は気がついたら小説を書いていた。Kには小説を書くことを止められていたが、書かざる追えない状態になってしまっていたのだ。僕は大学休学して何故かロシア語とドイツ語の勉強をしていたそして、身体に関わることを小説に書いていた。いつも炬燵の上で書…

『小説家の冒険』『小説家をかたちづくるもの』

僕は本屋が好きでよく行く。友人のKは小説家で長編小説を書くことが、生きがいだった。本屋でよく立ち寄るのが文藝書コーナー。Kの本を買うこともしばしばあった。Kはよく『源氏物語』や谷崎潤一郎の『細雪』を読みこんでいた。その筆からにじみ出てくる…

『小説家をめぐる冒険』『実存主義の小説』

僕は小説を書いていた。実存主義の雑誌に投稿するための小説をだ。ジャズを聴きながら。一文書いてかなりねちねちと推敲する。書く時間は早朝の5時と決まっている。アメリカのマンハッタンに行ったことがあるが、あそこはよい街だ。街全体があたたかい色に…

『小説家をめぐる冒険』『小説を書くことについて』

僕は思いのたけを小説に表現していた。そのぶんだけあらわれる「カタルシス」は深いものがあった。もともと僕は激しく<人と人とのあいだ>をよく考えるようになっていった。<人と人とのあいだ>を書きとめるためにノートに黒いボールペンで「ひっかく」よ…

『小説家をめぐる冒険』『エッセイを書くこと』

僕はエッセイを書いていた。ジャズを聴きながら。難しく考えることは何もない。フリージャズのように即興的に文章を書いていけばよいのだ。エッセイの内容は「現代音楽について」だった。すいよせられるように文章が浮かんできた。もともと僕はクラシック音…

『小説家をめぐる冒険』『私小説』

「私小説」を僕は書いている。自己の内面をさらけ出す小説だ。僕の親友であるKは音楽が好きでよくブラームスの交響曲第4番を聴きこんでいた。「私小説」を書くにはかなりのエネルギーがいる。登場人物は少ない。「世界があって私がある小説」だからだ。よ…

『小説家をめぐる冒険』『僕とK』

僕は小説家で長編小説を書いているところだ。人物描写を細かく描ききっていくことが重要なことだ。雨の様子をICレコーダーに記録したりKという友人と話し合ったりした。Kと話をすることはたいていは文学の話でカフカや村上春樹の長編小説について話すこ…

『小説家をめぐる冒険』『小説家になるのは難しい』

小説を書くことは難しいことだ。このことは僕自身がしっかりと「自覚していること」だ。小説家になるためには本を読まなくてはならない。文体のリズムは音楽からもらってくる。Kは僕の友人だった。Kは太宰治が好きで詩を書くことも好きだった。ドイツ語で…

『小説家をめぐる冒険』『Kとヤポンスキー』

僕は小説を書くことを仕事にしていた。コルクばりの部屋で自分の記憶をたよりに小説をつむぎだしていくのだ。僕には友人のKという作家がいた。Kは「音楽のように」小説をつむぎ出していった。また、Kは詩人でもあり、フランス語で詩を書いて日本語に翻訳…

『小説家をめぐる冒険』『クラタカソウスキ』

僕の友人はクラタカソウスキといって32歳の小説家。17歳で若くして文壇にデビューした。クラタカソウスキはクラシック音楽が好きでよくベートーヴェンのシンフォニーをCDで聴いていた。僕はベートーヴェンよりもむしろビートルズの音楽ほうが好きだっ…

『小説家をめぐる冒険』『ある小説家』

僕は『ある小説家』という政治に強いゴーストライターが主人公の小説をブタペストやギリシャを旅行しながら書いていた。大学時代、僕は古典ギリシャ語を学んでいたけれど、現代ギリシャ語ほうがずっと手強いものだった。『ある小説家』という名の小説を書こ…