『手記 自然学を求めて』その6

私は黒死館と言う館にひきこもるときがある。そこで小説を書くのだ。詩も書いたりする。詩はZARD坂井泉水さんをお手本にしている。黒死館にはときどき、哲学者が現れる。アリストテレスやカント、小説家では小栗虫太郎先生だ。黒死館ではいろいろな人形がおいてあってゴシック・ミステリーの世界を呈している。小栗虫太郎先生の助手である法水鱗太郎はペダンディック(衒学的)すなわち博学だが役に立たない知識を豊富にもっていて創作意欲をかきたててくれる。

 アリストテレスはつねに本を書いていた。赤いオックスフォード版の古典ギリシア語でがりがりと哲学書を書いていった。私はアリストテレスファンクラブの会員なのでリデル&スコットの辞典をひきひき英和辞典をかたわらにおいて解読しながら読んでいった。古川春風先生のギリシア語辞典も大活躍した。沼津市立図書館の謎なのだが、豊富にアリストテレス全集がそろっているのに『自然学』だけはなかった。

 私はときどき東京大学にいくことがあった。それは古典ギリシア哲学である『形而上学』を日常の哲学に引き下ろす仕事をやるためだった。大谷大学を辞めたあと黒死館で勉強を続けて西洋古典学会の会員になることができた。学者と指導者の両輪でいくつもりだった。