『臨床哲学エッセー』「音楽と軀」

音楽と軀は密接にからまりあっている。クラシック・バレエにおいて音楽を聴きながら踊ることは最も大切ないとなみである。両耳を貫通するように音楽を聴くことによって音楽を軀にしみ込ませるのである。クラシック・バレエは年齢を問われない芸術である。音楽と軀のうごめきによってかもしだされる残像は観る者を魅了させる。

私は身体性について考察している。そのために日常のなかで基礎トレーニングは欠かせない。そして音楽鑑賞も欠かすことができないいとなみである。ベートーヴェンの音楽の力強さやロシアのストラヴィンスキーの『春の祭典』やフランスオペラ座の『コッペリア』の音楽性は土着に根ざしている。また、ショパンのワルツもクラシック・バレエのなかに影響をあたえているのではないかと推察している。また、ベートーヴェン交響曲もバレエのなかにとりこまれている第九はあまりにも有名である。

体操競技は採点競技であるが、芸術性を強調される時代からわざの難しさに移行していった。本来はわざの美しさを問う競技であると私は強調しておきたい。それは倒立の美しさから<かもしだされる>雰囲気が軀を一直線の美のなかで追求していくことで原石がみがかれるようになっていく。

いずれにしても私は基礎トレーニングを軀からやりなおすことにしていきたい。それが音楽と軀との関係を根強くさせていくと考えていくからである。