『手記 自然学を追い求めて』その1

 私はアリストテレスの『自然学』を原稿用紙の裏に書き写すことにした。アリストテレスとは縁があり時間の探求からはじまっていた。私は統合失調症を抱えていて生きている。鬱状態になることもある。そんなときは正孝先生に電話をして科学的な対話をすることが好きだった。この手記は鬱状態になったときのはけぐちになるかもしれない。大学時代の恩師はアリストテレスの『二コマコス倫理学』を翻訳したことでしられている。現在の私の状態は理論物理学に現実逃避している。アルバイトもせずに無為な日々を送っている。ギリシア時代の科学とアインシュタイン相対性理論量子力学に没頭している体たらくだ。こんなことでよいものかと焦燥感ばかりかつのって思考に乱れが生じている。

 おばあちゃんは認知症になってしまい特別老人施設で御厄介になっている。「あんただれ」と言われたときのショックは筆舌に尽くしがたいものがあった。プリンストンの研究所にいくことになった。認知症のおばあちゃんは素粒子物理学量子力学の天才だった。アメリカへと渡米した。