『詩 道を探して』

私は道を探して歩いている
誰も見たことのない道を
目的もわからず歩いている
音楽を聴きながら
スケッチ・ブックに詩を書いて
何を書くこともわかっていない
風の音が流れてきた
乙女が通る香水のあまい香りが漂ふ
私は道を探している
いくら戦ってもつぎの相手がいるなかで
私が勝手につくっているだけなのだろうか
向こうからピアノの悲愴なメロディーが聴こえてくる
ハーゲンダッツのアイスクリームのように繊細
この詩は届いているだろうか
ピアノの悲愴さは時を刻むたびに増してくる
千本浜の秋の空に富士山が凛々しく立っていて
ぼくたちを見守ってくれている
会社や学校や幼稚園での人間
いくらでも書くことができる詩に価値はあるのか
私は道を探している
遠いけれど近い道を探している