『臨床哲学エッセー 私の脚本の書き方』

 私は将来の目標として映画監督になりたいと考えている。そのために人と人との交渉術を学ぶことを目的にトルストイの『戦争と平和』を熟読し、気になる台詞があったらノートに書き抜きをしている。その書き抜きにたよって脚本を書くのではなく、あらかじめストーリーを原稿用紙に書いておいたものと比較して脚本を書きあげていく。
 しかし、いまだにそのストーリーの話は書きあがってはいない。なにせ『戦争と平和』があまりにも長いため書き抜きがおいつかないのだ。
 そして、エッセーを書くことでしか自己を表現できない無骨な人間としての私が原稿用紙の前に座っているのだ。「うつ病」を抱えているため、どうしても気分が落ち込むことがある。この世界から消えてしまいたいと思ったことは一度や二度ではない。しかし、私には映画に携わりたいという目標がある。沼津で野垂れ死にするわけにはいかない。来年の3月頃までにはできるだけものを書いてブログにアップしていきたい。
 今、この書きものを書いている時でも外では雨がしとしとと降っている。私が外へ出かける事は限られている。ヴァイオリンを習いに行く時か、マルサン書店に行く時か、あるいはCDショップ店に行く時だけだ。それ以外は部屋に「ひきこもって」いる。もうそれは状態化している。少し冒険心が魂のなかにたまってくると沼津市立図書館へ行く。生来のなまけ者なのかあるいは「うつ病」のなせる業なのか皆目わからない。
 部屋のなかはマンガを描くためのサジペンと製図用インク、そして2Bの鉛筆やHBの鉛筆が座卓にころがっている。整理整頓が苦手でどこに何があるかはわかっているのだけれども、部屋はお世辞にも綺麗とはいえない。
 マンガを真似して絵を描いている。使用した画材はポスターカラー。武士の姿をそのまま描いたのだが、全体的に暗い印象が漂っている。仕方がないので青や緑を使って背景を描くことにした。そうしたら、案外良い絵になっていった。
 脚本や小説を書くときも真似をして書くことになると思う。「型」にはまらなければ「個性」が出てこないのと同じように。