『Kの物語』⑪

私はマンガを描く絵師として生計をたてていた。HBのえんぴつで下書きをし、その上からサジペンでもってペン入れをしていく。映画をつくるにはお金がかかるので挿し絵を描くことで映画製作の資金をつくっていった。マンガのお手本は『るろうに剣心』と『バガボンド』と決まっていた。
 私は「統合失調症」と「うつ病」を抱えていたが、マンガを勉強して絵を描くことはできた。「統合失調症」に罹ってしまうと一貫した思考を持つことができなくなる。絵を描くとこころに平安がもたらされるようだった。
 マンガはサジペンだけでなく、筆ペンも使用した。筆ペンは主にベタ塗りをするときに使う。夜になって半眼になったあと筆をとり、描きだすようにしている。私はこのことを『闇の考古学』と呼んでいる。どのようなキャラクターを描いていても注意しないと自分自身の顔に似た絵になってしまうので注意が必要だ。
 私は武士の姿に憧れをもっている。それはたぶん親戚に剣道の師範がいるためだろう。私は剣ではなくペンにもちかえて武士の姿を描いていく。
 小説を書くことは「良い小説」を書くことができれば誰でもできることだと或る作家から聞いた。また初心に帰って原稿用紙に物語を書いていくことにしよう。
 将来は小説家か映画監督になって生きたい。かなり時間がかかるけれども自分の道を信じて一歩一歩着実に進んでいきたい。