『演劇と小説家』

哲村は演劇をやっており、若生は6畳間のアパートに住んでいた。妻はヨウコさんと言って、妻もまた小説を書く仕事をやっていた。

 ある日、哲生は小説を書くことがいやになると、妻の話を聴き、新しい小説を書くための朗読と二足の草鞋として仕事をやり続けることになった。

 哲生はうつ病だったので寺やキリスト教のミサに参加するようになっていった。エッセイとファンタジー、ミステリーどれも哲生なりの考えがあった。うつ病で入院したときも大学院に行くための勉強をし、大学院生となった。

 うつ病で入院中のときにはひたすら小説を書き続けていた。そこでの入院生活でうみだされた作品は珠玉の作品でその内容はホスピタル・ケアや深層心理学からの「癒しの文学」で会社がえりのOLやサラリーマンが「ほっ」とできる物語りのなかの世界観をあたえてくれた。

 演劇や演出の仕事をしているヨウコさんはファンタジー小説に関してはミュージカルや宝塚歌劇団に所属していた経歴があったので身体的な解釈と「間」合いから哲生はファンタジー小説を書くインスピレーションを得ることができた。寡黙な人柄にひかれた哲生は
「ありがとな」
 とつぶやいてクラシック・バレエの稽古場を後にした。