『Zの日常』

Zは外務省に勤める役人だった。主な仕事は会計公務をやっていた。昼は会計公務の仕事をし、会計公務の仕事が終わると黙々と自宅で小説を書く日々が永遠と続いていた。

 ある日、友人のYから革命の演説をしたいので演説用の原稿を書いてほしい、と依頼があった。Zはとまどった。なぜならば、その革命はYの仕事場をストライキするというような内容だったためだ。しぶしぶZは依頼のままに原稿を書くことにした。

 まとまった原稿をYに渡すと革命の日にYがその原稿を直接読み上げるかたちで演説は始まった。その直後、一発の銃声が天空にこだました。見守っていたZが倒れたのだ。

 いったい誰が撃ったのだろうか。Yは犯人を捜すことにした。Zは奇蹟的に一命をとりとめた。Yは6年後に犯人をつかまえることができた。犯人はYの親友のWだった。

 WはYの革命をとりおさえるために44マグナム銃でZを撃ったのだった。Yが撃たれなかったのは革命が起きる前、Yが思いつめた様子で「ストライキをおこすんだ」とWに告白していたことに主な理由があり、Yはかけがえのない親友だったために傷つけるわけにはいかなかったのだ。

 WはZとおなじ職場で会計公務の仕事をやっており、Zがタイプライターで妙な文章を書いているところをコーヒーをもってくるときに「Y」と会社の名前が打たれてあったのに気がついてストライキスピーチの原稿を書いていることを発見したのだった。

 一筋の糸がアメーバ状にひろがってこの事件はおきたのだった。