『時代の流れ』その5

 ぼくはデイケアに週4回通うことになった。チグリス村のデイケアはウォーキングをしたり、カラオケをしたりして時間をすごした。楡病院と同じ系列の柳クリニックのデイケアだった。柳クリニックには自転車で行くことになっている。血液検査をしたら血中コレステロール値と中性脂肪が高めだったので運動を取り入れないとやばい。ユーフラテスにある楡病院のクリニックにはK先生がいた。K先生は大量の患者を抱えておりいそがしかった。ぼくは一日1000円のお小遣いを母にせびるのでK先生に怒鳴られてしまった。K先生の奥さんも図書館を利用するのに、それはないだろうとなかばK先生にあきれられてしまった。

 ぼくはフランツ・カフカに影響をうけてチェコ語とドイツ語を勉強することにした。カフカはドイツ語で小説を書いたけど、生きていたのはチェコだ。学習法はただCDを聞き流すだけ。ぐうたらで怠け者のぼくにはぴったりの学習方法だ。K先生は医学博士なのでドイツ語が堪能だった。チェコ語は未体験な言語なのでどれくらいみにつくか愉しみだ。チェコ語とドイツ語は似た言語なのでなるべく速くマスターしたいと思うが語学には近道がない。
(了)