『まわる神話』について 2

 『まわる神話』は立体的な小説でトルストイの『戦争と平和』を神話風に書き換えた物語りである。また、ファンタジーの部分ではハリー・ポッターの作風を活かすことにする。文体はオリジナリティあふれるものでありながらも、桐野夏生さんの書いた文体に限りなく近づいていきたい。

 ファンタジーの風はミヒャエル・エンデ近く、「時間のなかの物語」についてふかく考察できるような作品にしていきたい。

 私の哲学的テーマは「物語りのなかの時間」であるため。『物語り』を読むという行為自体をたいせつにしていきたい。

 トルストイの作品は冒頭に上流社会のダンスシーンが盛り込まれている。そのうえで労働者社会の風景があますところなく描かれているのでトルストイの教育思想に対する意識の高さをうかがい知ることができる。『戦争と平和』を神話化していくにはその周辺のミヒャエル・エンデ桐野夏生の作品を読み比べながら書き変えていくので肉をたたきつけるような忍耐が書き手には求められる。

 特に『戦争と平和』ではアウステルリッツの戦いの風景があますところなく描かれているので小説として、物語りとして書きなおすことは難しい。

 そのために私はドストエフスキーの光の作品である『白痴』を消化することによって作品にまとまりのある色彩をだすことにした。